FMSは3日間21時間で開催されます。
FMSのレベル1は、なぜ動作なのか?、動作を視るとは?という基本的な、しかし誤解されがちな問いについて理解を深めます。FMSが基づく発育発達、運動制御・モーターコントロール、身体領域の相互依存性などの原理原則と、FMS応用方法などについて、90分の講義から始まります。
その後、FMSの各テストについて、開発の経緯や意図と目的、そして測定方法やよくある間違いについて、講義と実技を通じて経験と理解を深めていただきます。
7つのテスト方法に関する講義・実技が終わったあとは、テスト結果に関する解釈についての講義があります。その後、FMSを応用した実践例・ケーススタディなどを通じて、FMSの応用方法などもご紹介します。
レベル1の最後は、FMSが開発した呼吸スクリーニングとモーターコントロールスクリーン(MCS, Motor Control Screen)の講義と実技で終了します。呼吸は動作を評価する上で、最も重要な評価の一つであり、またMCSは動作に対する評価をさらに1層深めてくれ、我々の介入に対してフェードバックを提供してくれるものです。
FMSレベル2は、動作に関する介入方法について学ぶ16時間です。冒頭には、レベル1同様、コレクティブエクササイズに関する原理原則を解説する90分の講義から始まります。
講義の後には、FMSがこれまで世界中の現場で、効果があると実証され、またコレクティブエクササイズの原理原則を学ぶ上でFMSが必須と考えるエクササイズについて、それぞれの目的と、よくある代償パターン、リグレッション・プログレッションなどを踏まえて実技を中心に解説していきます。
参加者には、実技を実際に体験してもらいます。また、実際に機能不全を持つ方をケーススタディとして、セミナーの中で、機能不全を改善するプロセスを見ることで、よりコレクティブエクササイズに関する理解を深めることができます。評価から始まる介入プロセスの楽しさを実感いただけると思います。
また、レベル2の2日間の途中、ムーブメントをより理解する上で必須のトピックについて、15分程度のミニレクチャーが複数用意されています。
FMSレベル1&2 セミナー スケジュール
1日目
10:00-11:30 講義:イントロ・理論
11:30-12:00 実技:(測定方法)ディープスクアットテスト、ハードルステップテスト
13:00-17:30 実技:(測定方法)
インラインランジテスト、ASLRテスト、ショルダーモビリティテスト、ロータリースタビリティテスト、トランクスタビリティプッシュアップ テスト、モーターコントロールスクリーン、呼吸スクリーン
18:00-19:00 講義:スコアの解釈、コレクティブストラテジーイントロ
2日目
9:00-10:30 講義:コレクティブエクササイズの原理原則・ストラテジー
10:30-12:00 実技:コレクティブエクササイズ(呼吸、ASLR)
13:00-17:30 実技:コレクティブエクササイズ(ASLRパターン、ショルダーモビリティパターン)
3日目
9:00-17:00 実技:コレクティブエクササイズ(ロータリースタビリティパターン、トランクスタビリティプッシュアップパターン、ハードルステップ パターン、インラインランジ パターン、ディープスクアットパターン
17:00-18:00 まとめ・質疑応答
FMSセミナー参加者の声
・動作の基礎を知る上でも興味があり受講しました。講師の方が、座学では一般の人でも分かりやすい用語を使って説明していただいたり、実際にFMSを使った評価やエクササイズを実技形式で体験ができ自分自身で成果と効果を確認ができ、今までにない視点や考え方を知れたので、とても有意義で充実した3日間となりました。ありがとうございました。(理学療法士)
・患者様に対しての、評価・治療・トレーニングの順序などを整理整頓するために受講しました。評価から介入のプロセスの考え方で新しく、同時に医療系の考え方からの引越し作業が大変だと感じたが、それ以上に、本来人間が持つムーブメントの重要性の理解ができたことが何よりも嬉しかった。再受講も無料のため、一度臨床で使ってみてまた受講したいと思いました。(柔道整復師)
・動作パターンと患部の状態について、どう繋がりを持っていけば良いか分からず詳しく知りたいため受講した。セミナーを受けている中で、例え話が多くあり噛み砕かれた説明があり分かりやすかった。教材+追加資料があるため、教材で分かりにくいところを追加資料で補っており大切なところも分かりやすかった。受講前は、セミナーの価格が高いと感じたが、3日間の学びと資料の内容と再受講が無料なことを考えると妥当な値段だと思いました。充実した3日間を過ごせました。ありがとうございました。(理学療法士/ヨガ・ピラティス関連資格)
・メディカルリハビリからスポーツリハビリまでの移行の理解を深めるために受講しました。テスト・運動療法(コレクティブエクササイズ)のポイントが、自分自身が体験することでより学びが深まったのでとても充実した3日間だった。具体的な説明が多くわかりやすく、質問もしやすい環境でした。最初はセミナーの料金が高いと感じましたが、値段以上の体験と学びをすることができました。(理学療法士)
・スポーツトレーナーを目指し1度受講してから、日々の臨床でFMSを活用し評価する過程で様々な疑問が出てくる中、定期的に参加するたびに新しい発見や間違っていた点など気づきがありとても良いセミナーでした。分かりにくい所も、質問時間をこまめに取ってくださるのと質問しやすい雰囲気にしてくださるので、疑問点もクリアになり難しい内容も理解しやすかったです。(パーソナルトレーナー関連資格)
・アスリートを見る上でも、治療を行う上でも重要な知識を得ることができた。現場でのFMSの使い方、コレクティブの進め方など実際の流れを見てみたいと思った。(柔道整復師/鍼灸師)
・セミナー中、随時質問することができ、他の受講者の質問も聞けて自分では気づけないことを聞くことができてよかった。(理学療法士)
・明日からすぐに活かせる内容が多くあり、3日間で内容の濃い時間だった。今回のセミナーを通して、自分の強みにしたいと感じた。(理学療法士)
SFMA (Selective Functional Movement Assessment)レベル1は、2日間、16時間わたって開催されます。
FMSの医療モデルであるSFMAは、FMSらしく、機能不全をロジカルに分解することで、痛みの原因をシステマティックに明らかにすることを可能とする動作に基づく診断システム(movement based diagnostic system)です。
セミナー冒頭には、痛みの原因と結果を分けることの意義、そして、医療的診断、疾患とは一見関係のないように見えるが、一定水準の機能を損なった部位や動作が、症状や疾患の原因となることがあり、それらの部位を標準化された方法で評価、介入することが、治療体系を方向転換し、広げる可能性があることについて90分の講義を通じて解説してきます。
さらに、FMS/SFMAが基づく発育発達、運動制御の原理原則が、これまでの機能障害モデルとはどう異なるのか、そしてどのようにFMSの医療モデルであるSFMAにとって重要なのか解説してきます。
講義後、SFMAの各パターンについて1時間程度使いながら、実際に参加者の中の機能不全や疼痛を有する人を対象に、評価方法を学んでいきます。
「ある部位の健全性が他の部位の健全性に依存する」と表現することができる、この身体部位・領域の相互依存性(Regional Interdepedence)というコンセプトを内包した一貫したシステムで臨床を視るとき、実際には都合のいい答えよりも、より多くの不都合な質問をもつことを余儀なくされる一方で、これまでのモデルとは異なり、臨床が非常に面白くなり得ることを理解するでしょう。
全てのパターンを学習した後には、治療・コレクティブストラテジーに対するまとめの講義を行います。
セミナーの最後は、実際に痛みを持った人を対象に、SFMAを実施し、その結果と介入の方向性について議論することで、2日間で学んだことが臨床現場でどのように応用されるのか実際に見ることでより学びを深めることができます。
SFMAセミナーレベル1 スケジュール
1日目
10:00-11:30 講義:イントロ・理論プレゼンテーション
11:30-12:00 トップティアー
13:00-13:30 実技:トップティアー
13:30-14:30 実技:多分節屈曲パターン
14:30-17:00 実技:多分節伸展パターン
17:00-18:00 実技:頸椎パターン
18:00-19:00 講義:まとめ、質疑応答
2日目
9:00-11:30 実技:上肢パターン1&2
11:30-12:00 実技:多分節回旋パターン
13:00-13:30 実技:多分節回旋パターン
13:30-14:30 実技:片脚立位パターン
14:30-15:00 実技:スクアットパターン
15:00-16:00 講義:まとめ・コレクティブエクササイズ
16:00-18:00 実技:症例検討、質疑応答
SFMAセミナーには毎回、数名の整形外科医にご参加いただいていますが、24年年末の和歌山SFMAにも2名の整形外科医にご参加いただき、コメントをいただきました!
◯松浦孝紀 医師
西宮渡辺病院 整形外科
参加理由
私がFMS、SFMAを受講したきっかけは、先輩の整形外科医師からのすすめでした。整形外科の先輩から、運動器疾患を診る上で、FMS・SFMAを受講したことで、自分の診察の幅が広がったという生の意見を聞いたことです。その意見を聞いた段階では、あまり実感がわきませんでしたが、SFMAで取り扱う疼痛というキーワードにもひかれました。
私自身、リハビリも含めた運動器を診る上で、セラピストと一緒に協力し、同じ方向性をもち、運動器疾患をワンチームで診ることは非常に重要だと感じています。ただ整形外科医師は、患者の運動器疾病を診て、治療することは得意なのですが、運動器の疾患にならないようにするという「予防」という点については、非常に疎いと自分自身感じていました。つまり医師は、疾患治療に対する手術加療・保存療法に対するプロトコールについては理解しているが、セラピスト一人一人が行っている筋肉の緊張緩和や体幹のトレーニング等については正直理解できていなというのが本音でした。そこで、セラピストとの共通の言語と知識を会得し、自分自身も疾病だけではなく、運動器の構造に対する理解をもっと深め、疾患予防をすることが出来れば、普段診ている患者様に還元できるのではと考え、参加しました。
受講した感想
SFMAは、普段私自身が患者を診る上で、これまでしたことのない評価方法もたくさんあるのですが、これまで行っていた診察技法も多く含まれています。ただ、病気ではなないので、いつも筋肉の柔軟性がないね、体が硬いねと一言でおわった診察を、より深く系統的に運動器を評価するきっかけになりました。
機能不全という言葉を利用し、様々な運動器を評価し、現在の疼痛の原因を突き止めるという手法については、非常に勉強になりました。これまで痛みのメカニズムについて基礎的研究も行ってきたのですが、人の運動器疼痛を診る上では、身体は様々な組織が連動していることを頭にいれ診察しなければいけないと思いしらされました。
SFMAを理解することは、診察技法の更なる向上につながり、普段の患者さんを診る上でも、多くのアドバイスが出来、セラピストと共通の言語になりえると感じました。私の先輩が言っていた診察の幅が広がるということの意味が理解でき、今後普段の臨床の現場でも実践していきたいと考えています。ありがとうございました。
◯佐々木貴英 医師
和歌山県立医科大学紀北分院 整形外科
参加理由
私がSFMAを受講した理由は2つあります。1つ目は、リハビリが整形外科診療の根幹をなす重要な要素である一方で、セラピスト個人の経験に依存する部分が大きいと感じていたためです。リハビリの評価に再現性のある客観的な指標が必要だと考え、SFMAを受講しました。2つ目は、私自身、疼痛がある局所に画像検査で異常所見が認められなかった場合、適切なアプローチ方法を持ち合わせていなかったことが理由です。特にスポーツ障害では、局所以外に問題があることも多く、現状ではリハビリをセラピストに丸投げしてしまうことが少なくありません。SFMAを学ぶことで、セラピストとコミュニケーションを取るための共通言語として役立つのではないかと考えました。
受講した感想
SFMAでは全身をシステマチックに評価し、各部位をrule in/outしていくため、抜けなく論理的に、疼痛部以外の場所も含めて疼痛の原因となっている機能障害にアプローチできると感じました。病院やクリニックでは疼痛部に解剖学的異常が認められる患者様も多いですが、そのような患者様に対しても局所治療に加え、SFMAを取り入れ疼痛部以外の機能不全を改善することで、疼痛の軽減や再発防止に役立つのではないかと考えます。ぜひ実臨床に取り入れていきたいと思います。このたびは素晴らしいセミナーを受講させていただき、ありがとうございました。
25年1月に開催した福岡SFMSセミナーには、プロ野球のオフシーズンということもあり、3名のNPB関係者にご参加いただきました!
これまでもFMS/SFMAセミナーには多くのNPB関係者にご参加いただいていますが、今回はコメントをいただきました。
千葉ロッテマリーンズ 鳥井田淳
現在、ファーム選手のS&C担当として業務に取り組んでいますが、リハビリ選手に関わる事もあり、SFMAは痛みに対する要因評価という意味ではとても活用できるツールとなりそうです。また、既往歴を持つ選手に対しても定期的なスクリーニングチェックとして再発予防に活用できると感じます。
今回のセミナーを受講し、慢性的な痛みに対しては痛みを抱えている部位だけでなく、その要因となる可動域制限などの機能不全を患っている他の部位を見つけ出すことが症状改善と再発防止の為に重要だということを再認識しました。慢性的な故障が多く見受けられる野球というスポーツで、SFMAは選手にとって大きな味方となってくれそうです。
福岡ソフトバンクホークス 太田利亨 リハビリトレーナー
私は理学療法士という資格を土台にトレーナー活動を実施しております。「痛み」に対しての加療が非常に重要となりますが、その「原因」に対してのアプローチも大変重要になります。
「原因」に対して、動作から関与している関節を追求し、当該関節はもちろん他関節が原因となりうる可能性も見抜いてしまうSFMAは、今までの臨床感に刺激を与えてくれました。
これからも選手のリハビリや治療を実施していく上で、競技復帰への一助になることは間違いないと感じています。
ソフトバンク ホークス 田代健太郎 アスレチックトレーナー
プロ野球というハイパフォーマンスが求められる現場で働く中で、選手の身体的な問題を解決するためには、痛みの原因を正確に特定し、適切なアプローチを選ぶことが重要だと常々感じています。今回SFMAセミナーを受講し、その考えをさらに深めることができました。
まず、SFMAの「機能的な動作パターンを評価する」アプローチは、従来の部位別の評価方法とは異なり、全身の動きの連動性に着目する点が非常に新鮮でした。特に、制限や痛みの原因が必ずしも痛みの出ている部位にあるとは限らないという考え方は、プロ野球選手特有の複雑な身体負担や反復動作において極めて有用だと感じました。
また、セミナーで学んだ評価プロセスは、選手のリハビリやパフォーマンス向上の際に大きな武器になると確信しました。例えば、肩や肘の痛みを訴える投手の場合、肩そのものではなく股関節や胸椎の動きが制限されていることで投球フォームに影響が出ているケースも多いです。このような「根本原因」を見つけ出す手法として、SFMAは非常に実践的であり、今後の現場で即活用できると感じています。
さらに、本来あるべき「理想的な動作パターン」を区別しながら介入を進める方法は、怪我の予防だけでなく、選手個々の能力を最大限に引き出す上でも非常に価値があると感じました。最後に、SFMAの強みは、チーム内の医療スタッフやトレーナー同士の共通言語として機能する点です。選手のケアにおける多職種間の連携を強化するための共通基盤として、このメソッドが非常に有効であると感じました。
今回のセミナーで得た知識と技術を現場で実践し、選手の健康管理やパフォーマンス向上に活用していきたいと思います。そして、常にアップデートされる新しい情報や技術を取り入れながら、より質の高いサポートを提供していくための一歩になったと感じています。