Isolation vs. Movement Pattern(動作)
by Gray Cook
動作パターンを鍛えるトレーニングは、時に”効かせない”トレーニングとされます。その発想と相反する考えのように思える特定の筋を他の筋から独立させて鍛えるアイソレーションエクササイズについてGrayが解説しています。
私はアイソレーション エクササイズ(注1)に反感を持っているわけではないが、過去の経験から、多くの人がアイソレーション エクササイズを使って動作パターンを高めようとしていることに気づいた。そして、なぜその筋肉群を選んだのか調べてみると、多くの人はいくつかの仮定をすることが多い。例えば、大腿四頭筋を使ったランジで体幹が前後に揺れるような間違いを修正しようとする。彼らは自動的に前面にある大腿四頭筋に筋力がないと考える。
注1 ...特定の筋を独立させて、鍛えるエクササイズ
しかし、我々は、他の評価や他の動作を実施することで、その原因が体幹のコントロールの可能性も示すことができる。または足関節のアウェアネス・気づきに問題があるのかもしれない。そのクライアントは何度も足関節を捻挫していて、感覚の入力があまりないのかもしれず、まずはそれを改善する必要があるかもしれない。多くの場合、アイソレーション(独立)は、人がキネシオロジーだと思っていることを前提に行われる。
時々、片側の大腿四頭筋が5cmほど萎縮した人を見かけることがある。ハムストリングは十分な強度を持っているように見え、下腿には何の問題もないが、既往歴がある。その人は、大腿四頭筋を使わずに身体を動かす方法を学び、今では何らかの形でスクワットやランジをしようとすると、大腿四頭筋を使わずに行うようになっている。「(Quadriceps Avoidance Syndrome(大腿四頭筋回避症候群)」と呼ばれる医学用語でがある。しかし、傷害後、正しく管理されていないと、我々が選択的に使わなくなる部位は他にもたくさんある。
上記の例では、ランジ パターンには他にトレーニングが必要なものはない。その人が必要としているのは、大腿四頭筋を脳内のボディ マップと再び結びつけることである。まずは、古き良き時代のニーエクステンションから始めるかもしれない。ニー エクステンション マシンはますます少なくなってきているが、この例では必要なものである。
問題は、アイソレーションを行う場合、真に筋力低下をテストできるポジションにしないといけないということである。今回の状況下では、大腿四頭筋を独立させることは、動作パターン全体にメリットがあるだろう。もしあなたが私の患者で、手術後であれば、リハビリの過程で何かをアイソレーションさせる必要がある場合もあるかもしれない。
また、特定の筋群が欠損・欠乏(萎縮)していることもある。機能を見ると、他のものはすべて良好に見える。このような場合、筋群をアイソレーションしても構わないが、筋群のアイソレーションだけで動作パターンが良くなるとは思ってはいけない。それをチェックする優れた方法がある。それはある種の動作スクリーニングを行ったり、その部位を強化するトレーニングを数サイクルを行った後にパターンを再度見てみることである。その部位が強化されたとしても、それがマップに再統合されたとは限らない。
さて、身体改造について少し触れておこう。私たちには、成長させたい部分と、あまり手をかけなくてもいい部分があるかもしれない。多くの人にとって、それは身体を別の方法で造形することを意味する。ここで興味深い点がある。約75%くらいの割合で、最悪の動作パターンは、シメトリーや発達に見られる欠損と一致している。私は以前、多くのボディビルダーと仕事をしていたが、彼らが発達させるのを最も苦手とする筋肉は、彼らが苦手とする動作パターンの主導筋であることを知り、驚ろいたことがある。
パターンの再構築を助けることに時間を使い、実際にもう少しファンクショナルなトレーニングを行い、より多くの筋肉群を鍛える助けをすることができる。あなたがボディビルのエリートレベルでない限り、この動作パターンの欠損に取り組むことで、より大きな利益を得られる可能性が高い。
身体の一部を発達させたいという極端な状況であったとしても、アイソレーションのみを行うことに賛同するのは、動作スクリーンが全く問題なく、動作に欠損がない場合だけである。やはりその動作のマップに沿って、動作が問題なくなってから、細かくアイソレートして欠損に対処すべきである。
ファンクショナルアプローチを用いて、動作の欠損の修正を試みると、ある動作パターンがオフになっているため、今までにない様々な筋肉痛が出てくることになる。動作パターンにサイドブレーキがかかっていたのである。
最初に動作パターンを自由にすることで、すべてが変わる。その筋肉が活性化したら、今度はアイソレーションをしてみよう。
もしあなたが体格の向上に熱心に取り組んでいるのであれば、ハードなトレーニングをしているときに、2、3ヶ月に一度、誰かにムーブメントスクリーンをしてもらうことは、単なる小さなテストではない。それはGPSのようなものだ。次の方向性を示してくれる。
私がアイソレーションに抱いている大きな問題は、アイソレーションそのものではない。問題は単一グループだけの問題であるかどうかを確認するために適切に筋力をチェックすることなく、アイソレーションが動作を変えると思い込むことである。そして本当に何かを変えたかどうかを確認するために、ある種の動作マップを見直すことなく、アイソレーションが動作を変えると思い込むことである。
アイソレーションは、優れたツールである。ただ、そこに根拠のない仮定を重ねることはできない。